談志完全復活、スゴい「芝浜」 |
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国立劇場演芸場における今年最後の「談志ひとり会」へ出かけた。9月に食道がんを公表して以来3カ月、完全復活を裏付ける独演会であった。 師走定番の「第九」に当たる「芝浜」を、談志は嫌いだと言う。そして「そんな噺でさえオレは上手えンだ」と言うのだが、まさに拍手鳴りやまずの「芝浜」であった。普通、落語家はあるネタを何回かやるとそれで良しとし、リフレインに入る。体に覚え込ませようとするわけだ。ほかに考えるとすれば長くやる場合には何を付け加え、短い時にはどこを抜くということぐらいなのだが、談志落語の特徴は絶えず変化し続けるというところにある。無駄だと取り払われる部分があり、テーマからするとここが肝心だと、ほかの落語家が一顧だにしない部分を、拡大し掘り下げて突きつけたりするのだ。 今回の「芝浜」にも、それが何カ所かあった。客は功を奏したその新演出に感動の涙を流し、弟子は、ああまたやられたと息をのんだのだ。 終演後の楽屋には吉川潮氏、高田文夫氏、野末陳平氏といったメンバーに加え、TBSの渡辺真理嬢、フジの中村江里子嬢という美人アナ「素晴らしい噺をありがとうございます」と訪れ、そこへタカラジェンヌが「師匠、ステキ」などと顔を出すものだから談志は大喜び、ますます食道がん全快お祝い色が際立ったのだった。 この報告が読者諸兄のおめもじにかなうころ、談志はインドのカルカッタにいる。目的を尋ねたら「マザー・テレサの墓参り」とすかさずシャレた談志だが、日本との温度差からくる体の変調を弟子は心配している。 あまり談志のことばかり言うと手前ミソになるか。高座で「がんで談志は助かり、内海好江師匠は亡くなりました」と言うと、客が妙に動揺する現象があることを付け加える。 立川談四楼 |
日刊ゲンダイ12月17日号より全文掲載 |