二つ目が作る新しい流れ |
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柳家喬太郎がいいとは聞いていた。先日、初めて共演した際、この目と耳で確認したが、やっぱりいいのである。入門が遅かったため34歳の今も二つ目だが、センス、テクニックともにその辺の真打ちのはるか上を行き、新作落語がまたいいのである。喬太郎は旧態依然とした落語協会に籍を置くが、どんな環境からも出るヤツは出てくるといういい見本なのである。 一門の談生が江戸を背景とした新作落語にチャレンジしていると聞き、「お江戸日本橋亭」へ出かけた。客席は満員の100人、それも通常の寄席と違う、新しい流れに敏感な客層である。楽屋をのぞき、さらに驚いた。スタッフが約20人いたのだ。聞けば放送作家をはじめとする業界周辺の人たちで、それぞれ仕事の合間を縫い、談生のために集結しているという。今の、そしてこれからの落語家に一番大事なブレーンを、談生は早くも獲得しているわけだ。 談生は「火事女房」(古屋啓子・作)を演じた。座付き作家は今回の古屋のほかに平野宗彰、そして談生本人といるわけだが、初めて聞く新作の出来は悪くなかった。ちゃんと江戸のにおいと落語的味付けがなされていたのだ。 その20人が繰り出した打ち上げはにぎやかで、談生の落語について盛り上がった。はたからこれを眺め、芸人としてつくづくうらやましく思った。そしてオレは二つ目時代になぜこういう会とブレーンを持てなかったのかと自責の念にかられもした。 談生は早稲田を出て塾の先生をしていたという変わり種である。したがって入門は遅く妻帯もしていて、おまけに二つ目ホヤホヤ、当然生活は苦しい。しかし談生にはブレーンがいる。仲間がいる。これは何よりの強みだ。それが証拠に、談生は喜々として新作落語に挑んでいる。まだごく一部の動きしか見えてこないが、二つ目が新しい流れを作りつつあることは確かだ。=敬省略 立川談四楼 |
日刊ゲンダイ8月7日号より全文掲載 |