田代まさしよ、なぜ本業を捨てたんだ!!
  何てさびしいヤツなんだ、田代まさし。事がノゾキから覚醒剤と推移するうち、そう思った。そして腹がすわってないと、つまりよって立つところがないと、タレントはえてしてこうなるのだと痛感した。
  田代はシャネルズ(のちにラッツ&スター)を経てたタレントになった。器用で如才ない処世術で大物に取り入り、着々と地歩を固めた。そして盗撮でつまずき、今回立ち上がれないほど大きくつまずいたわけだが、思うのは、彼がなぜ歌を捨てたかということだ。歌手としての仕事(ライブなど)を持ちながらのタレント活動であれば、今回のようなことはなかったと私は確信する。
  タレントの世界は過酷だ。いったんテレビに出れば出続けなくてはならない。出なくなった時点で売れないタレントと烙印を押されるわけで、ほかに歌や芝居などの本業を持ってる者はテレビ出演をむしろアルバイトと考えるから、ここに大きな差が出る。テレビがすべてのタレントと、テレビでの稼ぎを本業に注ぐ者とは心のありようが天と地ほど違うのだ。
  普段の田代はもの静かで、小心にすら見えたという。仕事は順調だが、振り返れば後輩が猛迫している。そして彼はある日、よって立つところのない自分、何がやりたいのかわからない不安定な自分に気づいて……。彼の穴を埋めるタレントがいって、彼と同じように転落するタレントがまた出て……。

   立川談四楼
日刊ゲンダイ10月18日号より全文掲載