丸山おさむの声帯模写は、ナマに限る |
|---|
|
古川ロッパの造語である「声帯模写」という言葉も、今では懐かしい響きとなった。そんな中、丸山おさむ(43)が奮闘している。 以前から彼の芸に中毒していた私は先夕、わが独演会に出演してもらった。当りであった。客は喜び、もう一度見たい聞きたい、次はいつ出演するのかと口々に言ったのである。30分鑑賞し、それでも続きをと思わせる芸人がほかに何人いるだろうか。 色白で、衣装を含めた立ち姿はキレイゴトである。この辺は師匠の白山雅一先生譲りだ。表情はとぼけ、人を食っている。でネタが始まる。出る出る。歌手オンパレードだ。ざっと数十人は出るだろうか。似てるのもあれば似てないのもある。つまり時々ビックリするほど似ていて、客は次にいつそれがくるかと、知らず知らずのうちにハマるのだ。 つなぎのしゃべりがまたいい。自虐的かつラジカルなのである。中高年の喜ぶネタをやり、若者を、どうだわからねえだろ、勉強不足めと挑発し、若者は悔しがってわかったふりをし、こうして若者もいつしかハマっているのである。 そんな丸山おさむであるが、知名度は思ったほど高くない。世間の尺度がテレビにあるからそうなるだが、なぜテレビに出ないかは打ち上げの席で明らかになる。ディレクターや出来星の人気物まねタレントとの対立話は抱腹絶倒、結果干され、そう、丸山おさむは失敗談がまたうまいのである。この辺はまさに芸人そのもので、それが証拠にテレビを見てごらんなさい、タレント度が高いヤツほど自慢話をするから。 とにかくあのカレー事件の直後に同じ設定の会場に行き「皆さん、もうカレーを食べましたか」とやり、場内を凍らせた男である。芸人仲間には侠気、舞台では狂気、丸山おさむは知名度以上に芸人に評価されている芸人なのである。 立川談四楼 |
日刊ゲンダイ2月25日号より全文掲載 |