寄席・立川流日暮里寄席
--談四楼 描写力で話に厚み--
 小説を書き、マンガの原作をこなし、この春からは大学の講師も務めようという異才の落語家、立川談四楼の人情噺「柳田格之進」に、巧みな作劇の妙を見た(3日、東京・日暮里サニーホール)。
 五十両紛失の嫌疑を掛けられた実直な浪人柳田格之進と、かけがえのない碁の相手である大店の主人との出会いと交情を描いた話である。
 二人が出会った桜満開の春、黒白を争いながらも信頼関係を深めるかげろうの夏を経て、五十両が行方不明になった中秋の名月の夜を迎える。やがて、木枯らしの吹くころ、二人の間に溝が生じる。談四楼は、四季とりどりの風景、風物をあしらいながら、あくまで文学的な情景描写に凝る。時の移ろいと人の心の揺れが、この綿密に計算されたディティールで鮮やかに浮き彫りされた。
 ややキザっぽさも感じられたが、それも「談四楼風」というべきかもしれない。
 談四楼のケレン味のない、真っ正面から取り組んだ語り口が、少々度が過ぎてはいまいかと思われる律義な武士を描くに効果を発揮した。不器用で剛直な武士が出来上がった。
 多才な能力による目配りの利かせ方が、演目にぶ厚さをもたらせたと言っていい。
 立川流の本拠の一つになっている同ホールに、客も定着しつつある。
 龍志の「家見舞い」はそつのない芸。奇才談之助は、得意の漫談調で、死んだばかりのジャイアント馬場を取り上げて沸かした。
 中堅のぜん馬の「掛け取り」も手堅い話芸でうまくまとめる。関西弁の志雲は「おくやみ」をにぎやかに。左談次は、トリの談四楼につなげる軽い役回りを心得ていて、「山号寺号」でさらっと降りた。いきなものである。

太田博