寄席・立川流広小路寄席
自信に満ちた里う馬の話芸
 定席を持たず、各地で独自の活動を続けている立川流一門の主だったメンバーによる月一回の定例会が「立川流広小路寄席」(東京・上野、お江戸日本橋亭)である。
 一部は、門下の前座勉強会、二、三部が二つ目と真打ちの競演。一部は当然ながら低料金で、若手の修業の場とし、二、三部は入替えなしで、じっくり聞いてもらおうという趣向だ。効率的に、着実に若手を育てている仕組みが見える。
 二月二十六日。午後三時開演の二部の顔付けは立川談生、談幸、龍志、談坊、談四楼、土橋亭里う馬と達者をそろえた。
 ちょっと気合不足の談生、談幸の後に、龍志の「片棒」。
 家の跡取りを決めるのに、自分が死んだ際の葬式の出し方で判断しようとするしわい屋の大だんな----。龍志は、一門には珍しく、よく言われる談志臭の少ない、癖のない話術を身に付けている。が、勝手なもので、そうなると今度は、談志のざらついた味わいが欲しくなる。
 中入り後、関西出身の談坊が「色事根問」で、上方弁のおかしさを充分に引きだした。
 談四楼は、あまりやる人のいない「人情八百屋」。極貧の親子に、お金を恵んでやったのが裏目に出て、その金を強欲大家に取られてしまう。それを苦に親は自殺、残った子供二人を八百屋が引き取る----。人情話の作法を心得ている談四楼は、人物をていねいに描き込むのに手を抜くことはない。持ち前の感情豊かなしっとりした語り口が生きた。
 貫録を示したのは、やはり主任真打ち(トリ)の里う馬。一門の総領弟子らしい自信に満ちた高座で、「こんにゃく問答」の笑編を大きく仕上げた。
 にわか坊主の八五郎とこんにゃく屋六兵衛という主役二人の面白さは、小意地の悪い寺男を魅力的に演出することで倍加する術を知り尽くしている強さであろう。腕力の効いた落語家である。

  太田博