志らくのピン
1月25日東邦生命ホール




 最近、全くをもって映画の志らくさんである。落語ファンには意外と思われるであろうが、志らくの知名度は映画の世界においての方が断然である。スーパーニュース、メンズウォーカー、そしてキネ旬。
 中でもキネ旬の影響力は大で、二月に行われるゆうばり国際・ファンタスティック映画祭ではビデオ部門の審査員として招待されてしまった。肩書きを映画評論家にした方が収入が増えるんではないかと思うぐらいである。だけど映画評論家でありながら映画監督までしたということになるとほとんど水野晴郎なのでやめておく……。
 でもって自慢ばなしみたいで申し訳ないが、キネ旬の読者賞をまたしても受賞してしまいました。九十六年度にも一度受賞しているのだが、今回で二度目。
 読者賞とは何かというと、早い話しがキネ旬の連載コラムの人気投票でして、過去、手塚治虫、色川武大先生などが受賞しております。ちなみに昨年は三谷幸喜と和田誠両氏の対談がその栄光に輝きました。ちなみに(またちなみにかい)、連載を始めた九十六年度にいきなり受賞し、翌年九十七年度が二位、九十八年度も二位、そして今回九十九年度で受賞と、まるで横浜ベイスターズの鈴木の打率順位である……。活躍のわりには地味だな。
 それでですね、宣伝ですが、その私のコラムが一冊の本になりましたので、ひとつ買ってくんなまし。
 それではこの場をおかりいたしまして、最近の映画についてぐだぐだと私なりの感想をお話してしんぜようか。
 ★五つが最高

 まずはこれから。
「ファイトクラブ」--好き嫌いで言ったら嫌いです。物語があまりにあざといし、意外とブラピに色気がない。エドワード・ノートンはいいけれど、ヒロインのエレナ・ボナムカーターが綺麗でない。監督の……ほれ、こうすれば観客は驚くべえ…というのが見え見えで感じが悪い。★★★
「奇人たちの晩餐会」--最高の室内喜劇。ニール・サイモン原作の「おかしな二人」、エマミエル・ベアール主演の「エレベーター降りて左」に匹敵する傑作。これほどの映画をハリウッドがリメイクするそうな。バカじゃないのかと思う。★★★★★
「シュリ」--ダメ! ハリウッド並のアクションということはハリウッドを越えていないってこと。だいたいこの映画の恋愛物語は趣味が悪すぎる。愛している人を殺せるかどうかなんて、殺せるかい! まだ「ソフィーの選択」の方が趣味がいい。★★
「ターザン」--私はアニメ嫌いですが、あの「もののけ姫」ですら爆睡してしまったぐらい、でもこれは面白かった。もっともターザンにリアリティはなかったけど。本当にターザンがいたら、もっと臭いはずである。★★★★
「ブレアヴィッチプロジェクト」--はっきり言って恐くないです。なに、これで終り? たいていの人はそう感ずるはずである。★★★
「海の上のピアニスト」--シチューエーションに無理がありすぎるが、綺麗な映画。「ニューシネマパラダイス」の時より監督さんが大人になった。主演のティム・ロスがイイ。この監督の手法だが、無理遣り感動させようとするのが少々鼻につくにはつく。★★★★
「ジャンヌ・ダルク」--ダスティン・ホフマンが余計。見せ場だらけでかえって見せ場に印象がない。物語はよくできている。前作「フィフスエレメント」の方が良かった。★★★
「御法度」--結構、退屈しなかった。テレビ俳優を起用しすぎ。松田龍平はそれほどイイ男ではないのに、ちょこっとゾクゾクしてしまった自分が情けない。神田うのの花魁は勘弁してくれ。★★★
「GTO」--内容についてはノーコメントとさせていただきます。形は違っても結局は金八先生でしょ。★★
「シックスセンス」--ぼんやり観賞していたら完璧に騙された。「一年後の秋」、あちゃ汚ねえよ。でも、泣けるんですよね。★★★★
「追憶の上海」--昔の邦画みたいで美しい。でも現代においてはちと物足りない。でもレスリー・チャンがカッコ良いからいい。★★★
「007ワールドイズノットイノフ」--男の惚れられないボンドなんて。★★★
「ラブオブザゲーム」--ケビン・コスナーの野球映画の中では抜群。野球の場面は手に汗握る。恋愛物語としては陳腐。★★★★
「エンドオブデイズ」--アクション悲劇。「ブレードランナー」にはなれなかったが「トータルリコール」並にはなった映画。シュワルツェネッガーの芝居はイイ。ヒロインに全く花がない。こんな娘、どうなってもいいと思ってしまう。★★★
「橋の上の娘」--かなり変態映画であるが、感動してしまったのです。昔の松竹大船の恋愛物語を変態チックにするとこんなかんじになる。★★★★
「ノッキンオンヘブンズドア」--ドイツ映画としては「ランローララン」より下であるが、なかなかの秀作。ユーモアはいまひとつ空回りしているが笑わせてくれる。★★★
「黒い家」--大竹しのぶの芝居が大げさで恐くない。スリラーは淡々と演った方が迫力が出るのです。★★
「プリティブライド」--ジュリア・ロバーツの笑顔が可愛い。リチャード・ギアはもう年齢的に恋愛映画に無理がある。★★★★
「ウェイクアップ!ネッド」--主人公の爺さんがイイが、これが森繁と伴淳だったらもっとイイ。★★★
「将軍の娘エリザベスキャンドル」--トラボルタの勘違い。マデリン・ストゥが美しくないなんて!★★★
「アナライズミー」--デニーロのコメディはつまらない。★★
「ワイルドワイルドウエスト」--西部劇の冒涜。ギャグのつまらなさ。役者の魅力のなさ。★

 とまあ、結構辛口でしたが、本当は私は甘口の方です。つまりここのところあまりイイ映画がないということなのです。今日私が演じますシネマ落語の「木遣りくずし」の元になったフランク・キャプラの「我が家の楽園」みたいな傑作はそうそう現れるもんではないですな。昨年では「ライフイズビューティフル」「ユーガットメール」「永遠と一日」「ランローララン」が素晴らしかった。

立川志らく






プログラムメニューへ戻る