立川談四楼の北沢八幡落語会 |
| 10月15日 | 北沢八幡神社参集殿 | 立川談四楼・キウイ・志っ平・談修 |
人の噂も七十五日と言うが、今年も残り七十五日となってしまった。この独演会が二カ月に一度でありながらすぐにやってきてしまうのであるから、月日の経過の早さは実感済みだが、この二カ月は不測の事態やイベントが目白押しであり、コクのある二カ月となった。談志が食道ガンから生還したのは御承知の通り、そして胃ガンで逝ってしまったのが談志と同い年の内海好江師であって、口内炎を患っただけの私は面目なさに酒を呷るしかなかったネ。
好江師のことは高座で触れるとして、談志が退院した九月二十五日にはちょっとしたことがあった。談志はその日、午後に退院し、自宅で休養ののちイイノホールの『にっかん飛切り落語会』のトリに臨んだのだが(しかしその日が仕事始めというのもスゴイね)、楽屋の談志は終始機嫌がよく、何とそこにいた私と左談次に色紙をくれたのだ。客に頼まれて色紙をもらうことがあるが、おまえにやると言われてもらったのは初めてのことで、一瞬左談次と顔を見合わせ、ケチな師匠がどうしたことだろう、本当は末期ガンではないのかと思ったぐらいで、しかし談志はニコニコとそれをくれたのだった。『ガンと酒…どっちにしようか』というのが文面で、これにはウケた。絵はウイスキーのビンやグラスで、これはいつものパターンの一つだが、ガンと酒…というのがいい。見れば日付がなく、私と左談次はあわてて「きょ、今日の日付を」と言い募り、それで退院の日を九月二十五日と覚えているのである。談志は笑顔のまま、我らに言ったネ、「五十円以下じゃ売るなよ」と。で、私と左談次は再び末期ガンという言葉を思い浮かべたという次第で…。
古館伊知郎の『トーキングブルース』を青山円形劇場に見に行ったという話は高座でするとして、そう、小朝の武道館公演、それも高座で喋るとして、『山遊亭海彦』の単行本がいよいよ発売されるという話なのである。
十月二十三日、五百三十円と御記憶のほどを。表紙の見本を見たが、これがウケる。何と祝儀袋そのもので、御祝とか御見舞と書いてあるところにタイトルの山遊亭海彦、そして出す側の名前を書くところに原作立川談四楼、漫画さだやす圭としてあり、思いっきり目立ち、失礼がなく、おめでたい装丁なのである。そしてページをめくればいきなり生前葬で、まあキツいシャレも利いているのだ。
漫画の主人公、それも落語家の主人公に「マジメにやれ」とか「ふざけるな」という読者の投書が連載中に相次いだが、今回あらためて読んでみたらやはり面白く、この漫画は単行本という形で通して読むべきものなのだということを痛感、だからどうしたって買うべき本なのである。どうぞどうぞ、書店で自分用とプレゼント用と、最低二冊はお求めのほどを。
立川談四楼

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