浅草談志の会
立川談春真打昇進披露

11月22日雷5656会館立川談志・志らく・談春・志加吾




 私事で恐縮
 忘れもしないこの夏の七月十六日。突如目まいで失神状態。遠くで救急車の音がしたが、気が付けば順天堂病院のベッドの上。病院の門をくぐるのは初めてだし、ベッドなんていうのも初体験。不安と焦燥の中、一番先に駆け付けてくれたのが談志師匠。
「オレ、べつに見舞いに来たわけじゃねえよ」
 いまも耳に残るあの一言、ほんと凄えの…。
 その後十日ほどして退院したが、体調よからず、心配して何度か電話をくれた師匠。
「群馬に優秀な医者がいおるから一緒に行ってやるよ」
 お盆で大渋滞の関越道をイライラしながら群馬に向かう一台のベンツあり。
 運転するのは浅草は昔の悪ガキ武藤くん。助手席に師匠。後部座席に私。
「パラオ恋しや、っての知ってるかい」
「知ってるさ、岡ッパルのだろ」
 海で暮らすならー パラオ島におじゃれー 北はマリアーナ 南はポナァペー 
 車内に響く師匠の歌声。
 ゆで卵など持って、私は遠足気分でけっこう楽しかったが…。

 その後、師匠はあのガン騒動。
 手術の前日にもタクシーで拙宅に顔を出して、
「調子はどう?」
 居合わせた週刊誌の若い記者、私の目に並だを見たなんて書いていたが、あれはウソ…
 見舞いの花にうまった前田病院。無言のまま立ちすくむ私に、
「いま小渕が帰ったところだよ」
「小渕…?」
 連れの吉川くんに聞いたら外務大臣だと…。
 幸い全快した師匠、前にも増して大多忙。
 師匠に連れて行かれた、あの群馬中島病院に二週間ほど入院していた私。
 朝、度々顔を出してくれる院長さん。
「昨夜、また師匠から電話があったよ」
 窓からは好きな山々の風景。それでも、あの気の抜けたような場末の浅草の空気が懐かしかったし。
 なによりも、久しぶりに見る「立川談志」の高座。
 生きていてよかったを実感。

  浅草談志の会
   松浦謙助






プログラムメニューへ戻る