立川談四楼文芸落語会
米助、左談次、楽太郎、談四楼の会

8月17日国立演芸場立川談四楼・桂米助・三遊亭楽太郎・立川左談次・立川志加吾・ゲスト/長部日出夫




 「何でもいいからやってみろ!」ある酒の席で酔っ払った談志師匠に言われたこの言葉が、今も生きる指針になっている。これからは落語だけじゃないんだよ、何でもいいから人より優れたものを持てというこのヒンズーのありがたい教え。そうかってんで、それからは名前を「ヨネスケ」にして、(これは談志師匠は賛成していない。)毎年、大リーグ観戦に行き、この肌で実感し、芸能界一の大リーグ通になっている自負がある。そして、見てきた大リーグの話を師匠にすると子供のように目を輝かせて聞いてくれる。「それでいいんだ!とにかく自分の金で行って見てくる!それが大事なんだ」と。親に褒められたいがために一生懸命頑張る子供がいるように師匠の前では私も単なる子供になってしまうのかもしれない。それにしても現在の落語界で談志師匠からアドバイスを貰える幸せを感じている奴がどれだけいるのだろう…

桂米助


 相変わらず多忙な中の楽太郎師匠、この日は夏風邪気味で声がかれてました。原稿を書く時間がないとのことで、急遽電話インタビューの中でのホンの一部分。
----楽太郎師匠の、人様とのお付き合いの方法は、若い時からとてもスマートだという定評がありましたが、師匠のお弟子さんに、その辺のことを教えていらっしゃいますか。
「教えない。パターンで教えて教えきれないものじゃないから教えようなどない。タイミング…センスですからね」
----落語家の売れる要素も同じことですか。
「当然。自分で考え、自分でやるもんでしょ。“売れてる”というのは、自分の評価ではなく、他の評価でしょ。小朝だって志の輔だって、売れてるやつは、それぞれ、自分の知恵と日常でいい仲間(ブレーン)を集め、自分の方向性をさぐり、やってるはずだ。この商売、面白くもあり、辛いことでもあるが、自己管理がすべて。黙っててもサポートしてくれるシステムはないのだから…」
(いつになく、かれた声音に淡々とした話し方でした)

三遊亭楽太郎(談)


 ----頭かきながらヘラヘラ笑いで----
 えーと、急に名前呼ばれちゃってェ、超びっくりって感じィ。えーと、ひとことだけ、友人代表として言います。新郎の談四楼とは兄弟の弟子で、同じ釜の飯をめしあがった仲なんだ。でもォ、釜の飯といっても、食べたのはパンなんだけどォ…。
----新郎バカ受け、新婦ポカン、媒酌人ケイタイ電話で話し中。
 今日ォはじまる時、スモークの中ゴンドラに乗って二人来たじゃん。やっぱりそうだったんだァって、愛と感動をありがとう!って感じ。これじゃサッカーだ、ちゅうの。名波だ中田だ涙はなかったァ。アハハ…。
----宴会係引き出物配りはじめる----
----なぜかシースルー浴衣で来た新婦友人----
 今日は、今日は、きょうはァとってもキレイ。てんとう虫のサンバうたいまーす。
 本当に御目出度う御座居□(マス)。
 左談次(わたし)も一席やりまーす。

立川左談次



 「笑点」の若手大喜利を始めとして、近年、若手が元気だ。違う人種に思えるほど威勢がよく、自由にのびのびと振る舞っていて、中にはテレビで寛ぐ者さえいるくらい。
 彼らは肌で知っているンだ。落語が上手いということや本寸法であること、本格派と言われることが栄光につながらないことを。とりあえず売れちまうことが芸人の王道であることを。
 思うことは、彼らが楽屋の呪縛から解き放たれているということだ。つまりそれは寄席演芸が崩壊していることで、若手にチェックを入れようにも入れる側がまるきり売れていないのだから説得力があるわけもなく、そんなことも手伝って若手の目が広く世間に向いたのであろう。
 運が悪いと言えばそれっきり、我らの世代はちょいと割を食った。入門時が寄席演芸の最後の黄金期、凋落傾向は見えているものの楽屋には緊張が漲り、礼儀作法を始めとすることごとくにチェックが入り、そうして古典落語こそが本道、古典落語の旗手たれ」と叱咤され通しであったのだ。
 ま、洗脳状態と言いますか、世間に打って出ようとすると「落語はどうした、そんなことでいいのか」との声が聞こえてしまうのです。その声が三遊亭円生であったりすると最悪で、とにかく円生は大量真打制度に対し「粗製乱造でゲス」と言った人、平たく言えば我らは円生を代表とする、「芸術史上主義」のマインドコントロール下にあったわけです。
 今夕はマインドコントロールから脱出したお三方がゲスト、いや彼らはマインドコントロールにかかってなかったのかもしれない、もしかするとかかったフリをして…とにかく「落語プラスアルファ」でマスコミに斬り込むお三方を楽しんでください。
 座談コーナーでは直木賞作家であり、落語の始祖や中興の祖を描いた「笑いの狩人・江戸落語家伝」の著書もある長部日出夫先生を迎え、落語と落語家の将来について大いに語り合うつもりです。どうぞごゆるりとお過ごし下さい。また旧盆あけ、夏休みという時期、東京にあまり人がいない折りにも関らずお運びいただき、深く厚く御礼申し上げます。

立川談四楼








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